サイエンスデイ出展概要と動画について

サイエンス・コースが学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2019に出展した際の概要について紹介します。
昨年に引き続き、サイエンス・コースの出展名義は「仙台青少年理科学研究部会」です。

【出展プログラム名】
「サイエンスが面白いってことを君に伝えたいんだ!」

【出展の意図】
サイエンスとは森羅万象に関わる全てを含んだ学問であることに立ち返って、宇宙から原子までのあらゆる事象に心を巡らせ、個々の発表者が最も関心を寄せる学問分野を自ら学び、それを集めて一つのブースにまとめました。月からナノの世界までスケールの振れ幅の大きなテーマ群をギュッとひとつの教室に凝縮して、世の中に広がるサイエンスの多様さを表現していることが大きな特徴です。その上で、来場者が体験を通してサイエンスの楽しさを実感できるように、装置や道具に触れながら能動的に実験に参加できる空間設計を行い、さらに発表者と来場者が対等に刺激し合える関係性の構築を図ることを目的としました。

【出展内容の概要】
テーマ設定にあたり、サイエンスの範疇に入るあらゆる領域の中から発表者が特に関心を持つ分野について、来場者が装置や道具を手にとって触れることができたり、一緒に実験が行えることを中心に据えて、発表者自身でテーマを設定しました。集まったテーマは、自然現象や人間の生活に基づいたものなど広範囲の分野におよびましたが、それこそがまさにサイエンスの多様性を表現するものと捉えて整理し、互いに関連し合うテーマを連結することで、宇宙から原子に繋がる一連の流れの中でサイエンスの楽しさを実感できるブースとしました。具体的なテーマの流れは、宇宙、光と気象(虹),風(揚力),光と植物(光屈性・走光性),植物の香り(エッセンシャルオイル),植物の繊維(紙),植物の色(草木染め),人工的な色(フリクションインク),鉱物と色(ビスマス結晶),ナノサイズの色(金ナノ粒子)となります。いずれも小中学生の発表者には高度な内容を含みますが、内容を消化し発表者自身の言葉で話しができるように取り組みました。

【各実験の内容】
① 宇宙(ソラ)を覗こう!(宇宙と天体望遠鏡)
宇宙の魅力を知る第一歩ともいえる地球から一番近い天体「月」の不思議を探りました。来場者は、手作りの月観察用望遠鏡を手にとって覗いてその性能も確認できるようにしました。月の観察をきっかけとして宇宙を覗いてみる魅力を発信しました。

② 7色のアーチ(虹)
虹はどのようにしてできるのか?の疑問に答えるべく、黒画用紙に貼り付けたガラスビーズや液体が入った水槽に、来場者がライトを当てることで発生する虹を観察してもらいました。水槽の実験では、混じらない2種類の液体を使うことで少し変わった虹が観察できると共に、虹が発生する原理についてより深く理解できるように工夫しています。

③ 太陽にのびろ!(植物の光屈性)
植物はどのようにして太陽の方向を向くのだろうか?植物が光に向かって曲がる光屈性について、カイワレダイコンに対して赤、緑、青色のLEDライトをそれぞれ照射し、光の色の違いによって光屈性に違いがあるのかどうかを観察しました。植物の成長と光の関係を実験を通して学びました。

④ どうなっているの?ミドリムシ!(ミドリムシの走光性)
植物と動物の両方の性質を持つミドリムシの生態に迫ります。ミドリムシに光を照射した際の挙動(走光性)を顕微鏡で観察しました。このとき、強い光に対して光から逃げる負の走光性と弱い光に集まる正の走行性を示すことを、実験を通して理解できる内容としました。

⑤ Plant Power ~植物の香り~(植物から精油の抽出)
人間が活用している植物の力の第一弾は「エッセンシャルオイル」。植物からエッセンシャルオイルを抽出する方法を解説し、来場者には実際に抽出したラベンダー、ローズマリー、スギ、クロモジオイルを嗅ぎ分けてもらいました。「香り」という切り口から植物の魅力を探究しました。

⑥ これであなたも和紙職人!?(紙とセルロース)
人間が活用している植物の力の第二弾は「紙」。トウモロコシの皮やトイレットペーパーを粉砕して作った和紙を比較しながら、和紙ができる過程を解説しました。来場者には、簡単な紙すき体験を通して紙の作られ方を学習することもできます。さらに、現在盛んに研究が進められているセルロースナノファイバーについて、実際に触れながら新しい材料の世界にも一歩足を踏み入れることができるようにしました。

⑦ やさしい色の草木染(草木染)
人間が活用している植物の力の第三弾は天然の色素を活かした「草木染」。来場者には、玉ネギの皮から抽出した色素を使ってウールボールを染める草木染体験をしてもらいました。金属イオンを用いて色素の発色や色止めを行う媒染の工程の違いで色が変化する様子を、化学反応の視点から考えました。

⑧ 消えるインクの謎を解け!(フリクションインク)
人工的に分子設計して作られた最新のインクのひとつである、書いても消せるインク「フリクションインク」の謎に迫りました。インクがなぜ消えるのか?そして再び色が現れるのか?といった現象について、短時間で色が変化するよう工夫された実験を行いながらその原理を学びました。

⑨ ビスマス結晶の魅力を探る!(ビスマス結晶)
独特の階段状の四角形が連なる形状と虹色に輝くビスマス結晶について、その特徴的な外観の謎に焦点を当てました。来場者は、実際にビスマス結晶に触れて詳しくその結晶の様子を観察してもらい、ビスマス結晶の持つ構造色や結晶の形について理解を深めるとともに、ビスマス結晶の魅力を体感することができるようにしました。

⑩ 金ナノ粒子 de 構造色(金ナノ粒子)
金の粒子をナノメートルのサイズまで細かくすると、金塊とは全く異なった色が現れます。ここでは、そのようなナノサイズの粒子や穴の整列が示す構造色について、ビスマス結晶の他に貝やDVDなど身近に見られる例とともに理解を深めていきました。不思議なナノ粒子を観察しながら来場者を自然にミクロの世界に誘いつつ、色って何だろう?ということまで考えていただきました。

⑪ 飛行機ってどうして飛ぶの?(風と揚力)
この実験では、子どもたちの(1)翼ってどうしてあの形なの?、(2)風にはどんな力(性質)があるの?、(3)翼が風を受けると何が起きるの?の疑問をもとに、様々な実験を通して飛行機がなぜ飛ぶのかを解明していきました。

サイエンスデイ2019出展の様子