令和7年6月12日(木)、北上川堤防において、地中レーダを用いた空洞検出実験を実施しました。

 本実験は、本校 総合工学科の園田潤教授が実施中の文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究B)「災害捜索やインフラ点検を刷新する人手不要な3DイメージングAI地中レーダの創出」(課題番号:23H01650)の一環として行ったものです。本研究は、道路や河川堤防などの社会インフラにおける劣化を、地中レーダとAI・ロボットにより自動的に検出・イメージングする技術の確立を目指し、実データでの確認とAI学習用データの収集を目的とするものです。

 今回の実験では、地盤沈下が発生している堤防において、160 MHz、450 MHz、750 MHzの各周波数帯の地中レーダを使用し、地中の構造を調査しました。この結果、地盤沈下が確認されている箇所以外の数カ所においても、空洞と推定される反射波を観測することができました。今後、これらのデータをAIによる自動検出アルゴリズムの学習に活用するとともに、ボーリング調査などにより空洞の有無を確認する予定です。
令和7年6月10日には、福岡市中央区の国道202号において、車道および歩道にわたって縦約2 m、横約4 m、深さ約2 mの陥没が発生するなど、類似の事故が全国で多発しています。本研究は、このような地中空洞による道路陥没や地盤沈下の未然防止および被害軽減を目的としています。今後も現地での実証実験を重ね、安心・安全な社会の実現に向けて、研究を進めてまいります。

 最後に、本実験の実施にあたりご協力いただいた関係者の皆さまに感謝申し上げます。

 科学研究費補助金・基盤研究(B)の概要
 https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23K26344/

地中レーダによる空洞検出実験の様子
地中レーダで検出した空洞と推定される反射波の例