高専発!「Society 5.0型未来技術人財」育成事業

“Society 5.0 type future technology human resources” training project

Society 5.0により実現する未来技術をリードするための,COMPASS 5.0(次世代基盤技術教育)のカリキュラム化による人材育成

事業の背景・課題

Society5.0 の時代に向けて,AI 技術の発達や社会で求められる人材像の大きな変化により,学びの内容や方法等も大きく変わってきています。また,あらゆる産業において,デジタル化の波(デジタルトランスフォーメーション(DX)時代)が押し寄せ,IT 技術が今以上に求められています。特に,AI,サイバーセキュリティ,ロボット,IoT 等を組み合わせる実装力,そして,そのベースとなる数理データサイエンスの学びも必須となっています。
そのため,課題として,以下の点が挙げられています。

  • 数理・データサイエンスの基礎となる数理教育の更なる充実が必要。(AI戦略のリテラシーレベル)
  • 未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創造に繋がる最新の基盤技術(AI,ロボット,IoTなど)を各専門学科の高度化部分として,教材開発と教育実践が必要。(価値創造に繋がる各専門分野での基盤技術教育の羅針盤)
  • Society5.0時代に即したAI(ディープラーニング)×専門分野に向けた教育実践が必要。(AI戦略の応用基礎レベル)

このような要請に応え,ICT を駆使した未来技術の中核となる人材を育成するために,高専機構全体としてのスケールメリットを最大限に活かした【高専発!「Society5.0 型未来技術人財」育成事業】をスタートし,この事業の中で,新時代に向けた取組みとして,研究分野では「GEAR5.0」(未来技術の社会実装教育の高度化),教育分野では「COMPASS5.0」(次世代基盤技術教育のカリキュラム化)と定義し,高専全体のプロジェクトとして進めます。
本校は,「COMPASS5.0」(次世代基盤技術教育のカリキュラム化)のIoT分野の拠点校として,広島商船高等専門学校とともに採択されました。

「COMPASS5.0」(次世代基盤技術教育のカリキュラム化)とは?

デジタルトランスフォーメーション(DX)時代に向け,あらゆる産業においてITを今以上に活用することが求められ,人工知能(AI),ロボット,IoT(モノのインターネット)などを組み合わせる実装力,蓄積されるビッグデータをAIで分析活用できる人材が,持続的な経済成長を支えると期待されています。このような様々な変化により,Society 5.0時代をリードする人材に必要な知識,技能も日々変化しています。AI・数理データサイエンス,サイバーセキュリティ,ロボット,IoTという分野を,これからの技術の高度化に関する羅針盤(COMPASS)と位置付け,高専教育に組み込むことで,新たな時代の人材育成機関としての高度化を図ります。
具体的には,以下の3点を中心に事業を展開します。

1. Society5.0時代の基礎教育

数理・データサイエンスの基礎に相当する教材開発と教育実践(AI戦略のリテラシーレベルに相当),アントレプレナーシップ教育の実践

2. Society5.0を支える基盤技術教育

  • 各専門学科の高度化部分として,AI,ロボット,IoTなどを,拠点校を設置して教材開発を行い,必要な高専がそれを活用して基盤技術教育の充実を図る
  • 最新教材および教育方法を継続的に提供するために,教員に最先端技術を学ぶ機会や交流するスキーム構築と,教員人材スキルバンクのデータベース構築

3. AI(ディープラーニング)×専門分野の教育

各専門分野にAI(ディープラーニング)を活用するための教材開発と教育実践(AI戦略の応用基礎に相当)

仙台高専としての取り組み

近年の社会システムは人やモノの情報をセンサ等で収集・蓄積し,蓄積されたビッグデータの解析によって付加価値を生み出し,現実世界へフィードバックする仕組みが不可欠となっており,そのシステム構築にはIoTが重要な役割を担っています。
IoT分野の拠点校である本校は,これまでに,地域産業を課題として地域企業と共に課題解決をするためのIoTの積極的活用(課題解決型インターンシップを核とした地域産業への最新技術の導入),及び,宮城県内ワイナリーと連携した農業ICT研究の推進を例とした,一次産業(農業,漁業など)を新産業体系(アグリビジネス,マリンビジネスなど)に転換するための,地域産業と連携した実証実験ベースの研究体制の構築に取り組んできました。
その成果として蓄積してきたIoT応用技術のノウハウを,IoTの基礎から地域課題への応用までをカバーした教育パッケージとしてまとめ,全国高専に展開します。教育パッケージはアフターコロナに対応するため,オンラインでのチーム開発に対応した教材とし,全国規模でのIoT教育の実施を目指します。
また,IoTの社会実装を促進するため,発想力の優れた学生が企業化を目指せるアントレプレナーシップ教育を導入するとともに,地域産業との連携を推進し,企業化につながるビジネスコンテスト等への学生参加の促進などの活動も進めます。
更には,開発した教育パッケージを英語化し,それを用いたフィンランドなどの交流協定校での講義および本校の留学生への講義を実施し,本事業を国際的な取り組みへと広げます。

事業実施体制

本事業は,本校及びもう1つの拠点校である広島商船高等専門学校と共同で実施体制を整備します。 具体的には,4つのWG,各WGの実施内容の評価,提案の審議・決定を行う運営委員会,事業の進捗報告を受け,成果の評価を行う外部評価委員会を設置します。各WGの概要は,以下のとおりです。

1.カリキュラムWG

 他のWGの成果を元にカリキュラムへの落とし込み,IoT教育に関してMCCへの拡張,及び質の保証に関するフレームワークの構築のために,次のことに取り組みます。

  1. 社会が訴求するIoTに関するスキル・コンピテンシーに関する調査
  2. 全国高専が実践しやすい教育パッケージの調査
  3. 教員がSociety5.0社会においてふさわしい教育ができるFD,SD
  4. 様々な教材・教授方法・コンテンツの整理と①②の成果による再構築
  5. 基盤・基本・専門人材の教育のアップデート,評価機構の構築

2.教材開発・実践WG

 IoT・アントレプレナーシップ教育に関する教育パッケージ(教材,教員研修,実践事例)の開発のために,次のことに取り組みます。

  1. IoT導入教育教材開発
  2. 非情報電子系学生に対応したIoTシステム教育教材調査
  3. UXデザインとアジャイル開発手法によるIoTシステム設計教育教材開発
  4. enPiT組込みシステム分野で開発した教材のIoTシステム開発教材としての利用調査
  5. オンライン授業において学生のディスカッションを促進するためのオンラインホワイドボードの活用

3.外部連携・広報WG

外部企業・組織及び各高専とIoTに関する人材育成,教材開発について連携して実施するために,次のことに取り組むとともに,本事業の成果の広報活動に取り組みます。

  1. KDDI,東北大学,JDCM,IoT検定制度委員会等の外部組織との連携協議
  2. 非情報・電子系向け教材の活用についての,GEAR5.0中核拠点校(熊本高専:介護・医工分野)との協議
  3. IoTシステム開発教材作成のための,農業ICT,衛星開発,防災分野に関連する各高専との協議

4.展開WG

他のWGの成果を拠点校以外の高専に展開するための活動に取り組みます。

お問い合わせ先

仙台高等専門学校 企画室企画運営係

TEL022-391-5506
E-mailkikaku2@sendai-nct.ac.jp