平成29年度学科改組の概要
平成29年度学科改組の概要
7学科から1学科3類8コースへ
改組の目的
多様で複雑な社会のエンジニアは、新しい価値を生み出す能力や答えがない問題を解決する能力が求められています。そのようなエンジニアには、しっかりとした基礎学力と高い専門性に加えて様々な専門分野を見渡せる幅広い視野をあわせ持つことが必要です。
仙台高専ではそのような人材を育成するために、現在の専門性を中心とした学科構成から、「専門教育・キャリア教育・人文社会・一般数理をカリキュラムの4本柱とする全人教育」と「専門の壁を越えた多様な学び」を実現する学科改組を行います。
コース制の導入
学生の資質と希望に応じた多様な学びを実現するために、現在の専門分野の壁を取り払い、7学科を1学科に統合して「1学科3類8コース」のコース制を導入します。
コース制を導入することには以下のメリットがあります。
●同一学科なので、他コースの専門分野も含めて幅広く適性に応じた複合的学修ができます。
●広い分野を見渡して、適性に応じたキャリア形成ができます。
●コースの定員やカリキュラム・専門性を時代に即して弾力的に改善し、学生や地域の要望に応えることができます。
「類」は、コースを大きな分野でまとめたものです。異なるコースの学生が共通に学ぶことがあります。
募集の方法
類ごとにまとめて募集します。 2年進級時に各類でコースを選択します。応用科学コースは4年進級時に選択できます。
募集人員
新しい専門教育体制
各類とコースの概要は以下のとおりです。
Ⅰ類
情報社会を支える科学と技術を学びます。
●情報システムコース
情報システムコースは、情報システムの視点に立った考え方や社会の中での役割を理解して、ソフトウェア技術を核に幅広い分野の人々と協力して社会の発展に貢献できる人材の育成を目指しております。このために、ソフトウェア制作に必要な知識、コンピュータの仕組みとコントロール手法、情報システムを構築して運用する技術、アプリケーションでネットワークを使う知識、コンピュータ同士をネットワークでつなぐ技術など、プログラミングの初歩からアプリケーション、人工知能、コンピュータサイエンスに至るまでソフトウェアに必要なことを幅広く学ぶことができます。
●情報通信コース
インターネット、携帯電話、ディジタル放送など、今や情報通信ネットワークは社会にとって必要不可欠な基盤となっています。様々なシステムが相互に関連しあう一方、安定した運用が求められる情報基盤においては、通信・ネットワーク・コンピュータに関する幅広い知識と技術が求められます。情報通信コースでは、電気電子・通信、ネットワーク、計算機システム等の情報・電子系に必要とされる基本的な知識の上に、主に通信とネットワークに関する技術を体系的に習得させることで、情報社会の発展とその基盤を担う人材を育成します。
●知能エレクトロニクスコース
エレクトロニクス機器の中核となるハードウェア技術をベースとして、機器に知的で柔軟な機能を持たせるためのソフトウェアや、機器を外部のコンピュータとつないでシステム化することなども視野に入れたIoT時代に対応できる技術者の育成を目指しています。知能エレクトロニクスコースでは、電子回路や電磁気学のような基礎知識やマイクロコンピュータ技術やプログラミング技術などの基盤技術に加えて、電子デバイス・材料のようなエレクトロニクス、さらにロボティクスやネットワーク技術などについても幅広く学ぶことによって、色々な分野の人々と協力しながら創造的なものづくりに貢献する力を獲得できます。
Ⅱ類
ロボット・エネルギー・マテリアル、社会を支える総合工学を学びます。
●ロボティクスコース
ロボティクスコースでは、AIはもちろん、ロボットに関するテクノロジーを習得し、それを応用する実践的な経験を積むことができます。さらに従来の電気、機械、材料、ソフトウェアなどの分野にとらわれない総合的な視点と、ロボットの活躍する場面を想起し、使う人の気持ちを考えるために必要な人間性、そしてビジネスも含めたグローバルな感覚、プロジェクト活動やコンテストを通じた新しい学びの手法によって涵養します。
●マテリアル環境コース
環境と調和した循環型社会の実現には、すべての製品のもとであるマテリアルの高性能化と環境リスク低減が強く望まれています。マテリアル環境コースでは、金属、無機、有機などマテリアルの幅広い専門知識と作製・評価技術、並びに地球環境の基礎概念と環境分析について、授業と実験がリンクした総合的な教育を実施します。研究活動やディスカッションを通して創造性や問題解決能力を高め、環境維持と社会発展の両立に貢献できるマテリアル総合エンジニアを育成します。
●機械・エネルギーコース
将来に向けて社会が継続的に発展するために、様々な科学技術を融合的に応用しながら新しい価値を創出していくことが求められています。機械・エネルギーコースは、次世代のものづくりと社会システムの創造に寄与する技術の担い手として、社会生活を支えるエネルギー技術を主体とする機械系力学、電気電子工学、工業材料等の分野の講義や実験・実習による学修を通して、社会生活に関する基盤技術や要素技術、工学に関する幅広い知識と実践的・創造的な能力を身につけた技術者を育成します
Ⅲ類
住まいからまちづくりに至るデザインと技術を学びます。
●建築デザインコース
人類はこれまで、生活や社会の「器」として様々な建築をデザインしてきました。そして、これからは歴史に学び、社会との関係から建築を考え、持続可能な社会と環境を、継承し、創造していかなければなりません。建築デザインコースでは、低学年から基礎的科目を学び、段階的に専門科目、設計製図や実験・実習、卒業研究など実践的学習に重点を置き、建築に関する基礎知識と専門的技術を習得します。さらに、様々な科目、教員との対話、フィールドワークなどを通して、人間性豊かな教養と芸術的感性、そして社会的センスを身に付け、豊かな住空間や社会環境の創造に携わる実践的技術者を育成します。
Ⅰ〜Ⅲ類共通
●応用科学コース(4年次から)
応用科学コースでは、自然科学的方法論を核として情報・電気電子・機械・材料の知識と技術を身に付けさせ、工学との複眼的視点から社会に貢献できる科学技術者を養成します。高専にあっては他にはない非常に特徴的なコースですが、国公私立大学工学部では、物理工学科や応用物理学科などの名称で理学と工学の分野横断型コースが設定されていることが多いです。変化の激しい科学技術社会や国際競争に立ち向かうために揺るぎのない基礎知識を身に付けることはいずれの分野でも重要視されており、基礎科学が好きで地道な努力を惜しまない学生の参画を歓迎します。本コースには、他コースから4年次に転コース制によって配属されます。定員は最大10名で、少人数精鋭教育を行います。本コースに配属した学生達は、解析力学・流体力学・相対性理論・量子力学・熱統計力学・固体物性論の物理系基盤科目、及びそれらと工学諸領域との融合科目を体系的に学修します。それにより、出身コースに基づく工学的基礎技術を持ちながら、学的素養も併せ持った複合的視点を展開でき、複雑化する社会で柔軟かつ新規な概念・成果を創出できる実践的・創造的技術者の養成を実現します。
卒業後の進路
・就職
これまでの卒業生はほぼ100%の就職率で、実践的技術者として社会で活躍しています。新たな仙台高専の卒業生は、さらに幅広い視野と技術を身につけた人材として多種多様な企業や自治体で活躍することが期待されます。
・進学
これまでと同様に、大学の3年生に編入学する道と、高専の専攻科に進学する道があります。専攻科や大学を卒業すると、いずれも、大学卒の資格(学士)を取得し、より高度で幅広い知識を身につけて社会で活躍することが可能です。あるいは、極めて高度な専門性を身につけて研究開発するために、大学院へ進学することが可能です。