令和7年8月28日(木)から30日(土)にかけて、大分県東国東郡姫島村「おおいた姫島ジオパーク」の火山地質および民間伝承に関連する各サイトにおいて、地中レーダを用いた地中推定実験を実施しました。
 本研究は、本校総合工学科の園田潤教授が文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究B)「災害捜索やインフラ点検を刷新する人手不要な3DイメージングAI地中レーダの創出」(課題番号:23H01650)の一環として進めているもので、今回はその応用展開として、令和7年度おおいた姫島ジオパーク調査研究活動助成に採択された研究課題「地中レーダによる姫島の火山地質構造可視化と伝承地形の科学的検証」に基づき実施したものです。
 実験では、ジオパーク内のコンボリュートラミナ(波打った薄い層)や浮田(姫島七不思議の一つで「揺れる田」として知られる)を含む火山地形および民間伝承に関わる計8サイトを対象とし、160/450 MHz帯の地中レーダを用いて地下構造を調査しました。この結果、コンボリュートラミナでは連続した層構造が検出され、また浮田においては「大蛇を誤って埋めてしまったためその怒りで田が揺れる」と伝えられる言い伝えに関連した地下の特徴が明らかとなるなど、火山地質構造の可視化と伝承地形の科学的検証を行うことができました。
 ジオパークは「大地の成り立ちを活かして教育・観光・地域振興を行う地域」で、令和7年6月1日現在、日本には47地域のジオパークがあり、そのうち10地域がユネスコ世界ジオパークに認定されています。今後は本研究の成果を他のジオパークにも展開し、表層からは見えない新たな魅力の発見に貢献していきたいと考えています。
 最後に、本実験の実施にあたりご協力いただいたおおいた姫島ジオパーク推進協議会の堀内悠博士ほか関係者の皆様に感謝申し上げます。

おおいた姫島ジオパーク
https://www.himeshima.jp/geopark/

おおいた姫島ジオパーク調査研究助成
https://www.himeshima.jp/geopark/researchgrant/

実験当日のコンボリュートラミナ(赤枠内)
地中レーダで検出したコンボリュートラミナ(赤線)
地中レーダによる浮洲の火山地質検出実験の様子