第12回専攻特別講義Ⅰ、Ⅱ(第214回定例談話会兼)を開催しました
11月25日(月)、本校広瀬キャンパスのICTメディア教室において、東北大学大学院文学研究科の森本浩一教授による「物語はどのように経験されるか―小説を例に―」と題する講義がありました。
文学作品の精読は、理系の我々には日頃なじみが薄くなりがちですが、異なる分野のアプローチを知ることもまた、ものの見方を深めるという意味では相補的なことと思います。近代小説では、「語り手」が重要な存在であり、語り手の語りを通して、読者は物語内の出来事の連鎖へ導かれ、推論や想像的補完によって物語世界を経験してゆきます。語りが一人称か三人称かに応じて、全知の語り手(一人称的)視点から、単なる事実の羅列ではなく登場人物の内面に入っていく(三人称的)心理描写まで、読者の想像を喚起する色々な方法があります。それと同時に、小説の面白味は、解釈学に偏りすぎることなく、文章表現そのものに浸るという点にもあります。
小説は虚構ではありますが、ある意味、意図された世界の創造であるので、これを工学技術あるいは理学の原理などと置き換えてみると、新技術の効果的なアピール法や世界の多様性の理解などと類似する分が見えてくるような気がします。
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