第2回専攻特別講義Ⅰ、Ⅱ(第220回定例談話会兼)を開催しました
5月26日(月)、本校の視聴覚教室において、東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻の宮﨑讓教授による学校紹介と「熱電効果とそれを応用した発電材料の研究」と題する講義がありました。
熱電効果とは熱と電気を互いに変換する効果のことです。熱電効果を応用すれば、身の回りの温度差から電気を作り出したり、逆に素子に電気を流して冷暖房を行うことができます。現代社会は膨大な量の排熱であふれているため、この一部でも電気に変換することができれば、我々のエネルギー環境は大きく変化することが期待されます。
講義ではそのようなエネルギー工学の一般論と、それを実現するための物質探索の醍醐味についてのお話を頂きました。具体的な数値で特に印象的だったのは、車による排熱が年間約46万テラカロリーであるということで、これは7800万台の車が年間700リットルのガソリンを消費することに相当します。これの10%を電気に変換できれば、火力発電所数基分の発電量がまかなえます。現在のところ有用な性能指数を持つ物質であっても、このようなことを実現することは大変ですが、車やPCなどの排熱を有効に活用したいというモチベーションは非常に魅力的です。また優れた機能性物質であっても実用に耐える材料でなければ魅力が半減してしまうことや、毒性がなく地殻に豊富に存在する原子から構成された物質が望ましいことなど、材料学の重要な視点も学ぶことができました。
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