第15回専攻特別講義Ⅰ、Ⅱ(電子情報通信学会地区講演会および第250回定例談話会兼)を開催しました。
1月20日(水)、本校広瀬キャンパスのICTメディア教室において、東北大学電気通信研究所の大野英男所長による「スピントロニクスの研究開発最前線―集積回路応用に向けて―」と題する講義がありました。
電子情報技術は半導体と磁性体を基にしていますが、情報処理や計算が半導体のトランジスタやICでなされるのに対して、ハードディスクなどの情報記録には磁性体が用いられ、それらは分野として独立しています。物質中の電子の電荷とスピン両方の自由度を同時に用いて新たな電子デバイスを指向する分野がスピントロニクスです。東北大学はスピントロニクス分野の世界的なメッカで、大野先生は非常に著名な研究者です。
集積回路の直面する課題として、待機電力や配線は大きな問題であり、それを抑えるためには不揮発性メモリの高度な研究が重要です。講演では、研究の歴史的経緯から始めて、ミクロな磁気的情報を電気的に読み書きする原理とその集積化、回路全体としての最適化についてお話がありました。先生のお話は、工学としての現実的な出口を明確にすることと同時に、研究者としてのチャレンジ精神が随所に感じられ、学生達へのよい刺激になったと思います。