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卒業生・修了生へ贈る言葉,修了生のお礼の言葉

卒業生・修了生へ贈る言葉

卒業生・修了生の皆さんへ

 例年になく暖かかった冬も終わり、遠目に見える桜も少し色づき始めました。
この春に、長く険しい勉学の道を歩み通し、仙台高等専門学校の本科を卒業する二百六十一名の皆さん、専攻科を修了する八十八名の皆さんを心から祝福したいと思います。これまで支えて来て下さいました保護者の皆様にも、お祝いの言葉を述べさせていただきます。

 今回の卒業式は、新型コロナウイルスの感染拡大により、大変残念ではありますが、中止せざるを得ないという結論に達しました。全国的に感染者数が増え続け、感染経路が明確でない事例も多々ある現状では、多数の卒業生・修了生および保護者の皆様の安全を第一に優先すべきであると考えました。華やかな式典も記念撮影もできなくなりましたが、卒業生・修了生の皆さんの達成した学業が、例年と同様素晴らしいものであることを誇りに持って下さい。高度な知識を使いこなせる皆さんの頭脳、そして優れた技術を修得した皆さんの身体こそが、最も価値があり大切なものであることを、この機会に心に刻んでいただきたいのです。

 世界的に感染が拡大し続けるコロナウイルスの問題は、技術者として社会に旅立つ皆さんに対して、とても重要なことを提示しています。ひとつはグローバルという言葉の意味です。昨年末に中国の一地域で発生した感染が、止められないばかりか、世界中に拡散し多くの人命を奪っています。また、その結果として起こる生産活動への影響も、世界経済に甚大な損害を与えています。つまり地球上のすべての出来事は連鎖・連動しており、他国の事でも自らの問題として考えなければならなくなったということです。もうひとつは、未知のものに対する予断や偏見、根拠の無いうわさに惑わされてはいけないということです。今回は、前例のある同種ウイルスからの類推で、激しい症状がなければ感染しないという初期の思い込みが世界的に感染を拡げてしまった可能性があります。科学や技術に携わる者は、常に観察や観測に基づいた事実を大切にし、「もしも」を想定した対策を練る心構えを持つことが必要となるでしょう。

 現代社会は、新しい感染症の世界的流行以外にも、多くの問題を抱えています。とりわけエネルギーと資源の枯渇は大きな問題です。地球規模の気候変動や巨大自然災害にも対処しなければなりません。また、国際間での貧富の差は小さくなりつつあるとは言え、未だ戦争と飢餓に苦しむ人々がいます。このような時代に、実践的な工学技術を学んだ皆さんに対して、社会が寄せる期待は極めて大きいのです。幅広い視野と探究心を常に持ち続け、専門の異なる他分野の人々とも協力して、社会を支える技術を新たに生み出していただきたいのです。

 卒業生・修了生の皆さんの進む道は様々でしょう。皆さんには、工学の十分な基礎知識が備わっておりますが、これまで学んだ専門性がすべてとは考えて欲しくないのです。変化し続ける社会の中で、学ぶことに終わりはなく、違う分野に飛び込むこともためらってはなりません。皆さんが身につけた、ものの見方や考え方、人を理解し思いやる人間性こそ、時代が変わっても変わらない価値として大切にしていただきたいと思います。社会の中で活躍することが自らの喜びとなって、皆さんに素晴らしい未来がひらかれていくことを心より願っています。

令和二年三月二十一日

                  仙台高等専門学校長 福村裕史

修了生のお礼の言葉

*学生自身が式典用に準備したものを,そのまま掲載いたします。

修了生総代謝辞

 例年になく暖かかった冬も終わり、日に日に春らしさの増す今日この頃となりました。 本日は、私たち卒業生のためにこのような盛大な式典を挙行していただき、誠にありがとうございます。またご多忙の中ご臨席を賜りましたご来賓の皆様、教職員各位に、修了生一同を代表して心より御礼申し上げます。

 さて、私たち高専生は、技術者の卵として日々進化する技術について関心を持ち、この学校で多くのことを学び、成長し変化してきました。中でも私自身が一番変化したと感じるのは、「人間関係」について学んだことであると思います。この七年間における様々な場面での素晴らしい「人間関係」が私に大きな影響を与え、成長させてくれました。

 振り返ると、私は、数日とは言え仙台高専へ入学するに先立ってまず松韻寮へ入寮しました。十五歳で親元を離れて新しい環境へ馴染むには正直結構苦労しました。しかし、七年間の寮生活の中で得た様々な経験は、私にとってかけがえのないものとなりました。寝食を共にした寮の仲間たち、寮運営についてご指導・ご助言くださった先生方、またおそらく寮生を一番親身に支えてくださった寮母さん、このような方々がいたからこそ、ここまで来られたのだと思います。

 また、私は部活動では陸上競技部に所属していましたが、最初の頃あまり勝負やタイムへのこだわりが少なかった私は、顧問の先生や部活動の仲間から、トレーニング方法や競技に対する心構えを教わり、その結果自信や意欲をもって競技に挑めるようになったこと、各種の大会で自分の力を最大限発揮できるようになったことを今では誇りに思います。

 専攻科では、学会やインターンシップなどを通じて多くの経験をすることができましたし、とりわけ担当の先生からの指導や研究室のメンバーからのアドバイスのおかげで研究に打ち込むことができました。専攻研究を通して、実験というのは、やってみないとわからないからこそするものであり、結果が予測した通りにいかないときにはその理由や原因を考え、うまくいくまで条件を変えて挑戦する。それが実験の醍醐味であると学びました。

 これらの様々な「人間関係」によって私は大きく成長することができたと思いますが、次のステップとして、私たちは日々変化し続けている「社会」へと出ていくことになります。厳しい環境に苦労を強いられ必死にもがき続けることもあるでしょう。しかし、そうした苦境も仙台高専で培ったものを十二分に発揮すれば自ずと乗り越えられると今の私は確信しています。新しい環境へ挑戦するにあたって、自分を信じ、信念を貫き、「人間関係」を築き上げ、「社会」を変化させることのできる人間になれるよう私たち修了生一同は今後も精進していくことをここに誓います。

 最後になりますが、これまで多大なるご指導、ご支援をしていただいた教職員の方々、またご来賓の皆様、今日まで支えてくれた家族、そして七年間を共に過ごしてきた仲間たちに心より御礼を申し上げるとともに、母校仙台高専のより一層の発展を願って、謝辞とさせていただきます。

令和二年三月二十一日
                修了生総代
                情報電子システム工学専攻 菊地 誠